遺産相談.com > 遺産相続 > 生命保険って相続?(かしこい保険のかけかた)

生命保険を相続として賢く使う

ケース1)主な財産は自宅の場合
兄弟2人で相続税はかからないとします。相続が発生した場合、自宅を兄弟で分け合って相続することも可能ですが、 土地の財産価値が下がるだけでなく、その後の使い勝手も悪くなってしまいます。また、いつかその自宅をめぐってトラブルになるかもしれません。
そこでスムーズな遺産分割を行うために生命保険を活用する方法があります。
財産が自宅の場合の相続
このように保険に加入して、自宅は兄が相続し、弟は保険金をもらうという形にしておきます。 これである程度のトラブルは生命保険を活用して軽減することができます。
ケース2)事業をどちらかが継ぐ場合
店舗兼自宅といった形で事業をしている場合、兄弟で不動産や株式を現物分割してしまうと、 仕事がやりにくくなったり、場合によっては商売ができなくなってしまうこともあります。 ですので、一人が事業を相続するわけですが、他の個人資産で釣り合うほどあれば別ですが、このままでは残りの兄弟は相続分が極端に少なくなってしまいます。

このため代償分割を使い、本来の相続分を代償として支払うことが考えられます。 しかし、問題はその支払う金銭をどのように工面するかということです。この代償分割の支払いのための資金を生命保険で準備することが可能です。
事業継承の場合の相続
このようにしておくことで、長男は受け取った保険金を次男に支払うことができるようになります。 この場合の保険金は長男の一時所得になるため、長男の所得税・住民税の対象になります。 しかし一時所得の場合、実質的な最高税率は25%なので、生命保険金をみなし相続財産にするより一時所得とした方が有利となる場合もあります。

※一時所得は、受け取った保険金額から払い込み保険料と特別控除である50万円を差し引いた金額の1/2となり、 最高税率は実質、約25%(所得税37%と住民税13%の合計の1/2)となります。
したがって、相続税の税率が30%以上となる場合は、一時所得とした方が有利となることもあります。

税金を少なくするかしこい生命保険のかけ方

生命保険は契約の仕方によっては贈与税がかかることもあります。
被保険者が生命保険に加入していた場合、被保険者が死亡すると保険会社から保険金を受け取ることができます。 この保険金にも原則的に税金がかかりますが、加入していた保険の保険料負担者や受取人が誰なのかによって、かかってくる税金の種類が違ってきます。

契約形態による死亡保険金の税金の種類

保険料負担者 被保険者 保険金受取人 かかる税金の種類
相続税
所得税
子供 贈与税
【 相続税の場合 】
500万円×法定相続人数=死亡保険金
例えば妻と子供2人の場合は法定相続人が合計3人となるため、1,500万円までは税金がかかりません。それを超える部分の金額が相続税の対象になります。
【 所得税の場合 】
(保険金-払込保険料総額-50万円)×1/2=総合課税の対象となる課税一時所得金額
一時所得として課税されます。受取保険金額から支払った保険料の総額を差し引き、さらにそこから一時所得の特別控除50万円を差し引いた金額の2分の1が、 ほかの所得と合算されて課税されることになります。
【 贈与税の場合 】
保険金-110万円=贈与税対象
保険金から基礎控除110万円を差し引いた金額が課税対象になります。
贈与税は最も税率が高くなっていますので、贈与税扱いになる契約は避けた方が良いでしょう。

生命保険を節税に使おうと思っている場合、相続税扱いになるようなかけ方だけが有効な方法です。
また、妻がお金のやりくりをするため、家庭の収入を妻の口座で管理している場合、実際には夫の収入から払っていても【所得税の場合】と見なされてしまう場合があります。 仮に夫の収入だけでやりくりをしていたとしても口座を分け、夫が被保険者の保険は夫名義の口座から、 妻が被保険者の保険は妻名義の口座から引き落とされるよう設定しておいた方が良いでしょう。