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相続の廃除について

被相続人が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、 家庭裁判所に「推定相続人廃除調停申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度です。 ただし、その相続人に子がいる場合にはその子供に相続権が移行されることになります(代襲相続)

廃除の理由となる場合としては以下のようなものがあります。

  • 被相続人を虐待した場合
  • 被相続人に対して、重大な侮辱を与えた場合
  • 推定相続人にその他の著しい非行があった場合
  • 被相続人の財産の不当処分
  • 賭博を繰り返して多額の借財を作りこれを被相続人に支払わせた
  • 浪費、遊興、犯罪行為、異性問題を繰り返す親泣かせの行為
  • 重大な犯罪行為を行い有罪判決を受けている
    (過去の判例の一般論として5年以上の懲役、無期または死刑に該当するような犯罪行為)
  • 相続人が配偶者の場合には婚姻を継続しがたい重大な事由
  • 愛人と同棲して家庭を省みないなどの不貞行為
  • 夫婦関係の事実が存在しない
    (遺産目当てに戸籍上の夫婦になった場合など)
  • 相続人が養子の場合には縁組を継続しがたい重大な事由
  • 親子関係の事実が存在しない
    (遺産目当てに戸籍上の養子になった場合など)

家庭裁判所はこの申立てに対し慎重に審議する傾向にあり、実際に相続廃除が認められた事例は多くはありません。

民法893条によれば遺言で相続廃除を行うこともできますが、推定相続人が異議申立てをすれば認められない場合がほとんどです。 推定相続人が一切、異議申し立てをしないか、重大な犯罪行為で刑務所に入っている最中ということでなければ相続権が剥奪されることは稀です。

相続の欠格について

相続の欠格については相続廃除のような特段の手続を必要としません。特定の相続人に以下のような相続欠格事由が認められれば相続権を失います。(民法891条)

  • 故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者
  • 被相続人が殺害されたことを知っていたにも関わらず、これを告発せず、または告訴しなかった者
    ※是非の弁別のない者など民法891条2号の但し書きに規定される場合を除く
  • 詐欺・強迫によって、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者
  • 詐欺・強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者
  • 相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者